2022年8月29日、森永製菓はラムネ菓子が人間の脳機能にどのように働きかけるかについて興味深い研究結果を発表しました。
ラムネを摂取することでeスポーツで重要な集中力の維持に役立ち、パフォーマンスアップにつながるとのことです。
また、この研究結果は査読付き国際学術誌「Journal of Digital Life」2022年2巻7月号に論文が掲載されました。
これまで未開だったラムネ菓子がeスポーツに与える影響の実験
全世界でプレイ人口が増え続けているeスポーツに関する最近の研究では、ゲームプレイ中の注意力と栄養の関係が調べられています。
しかし、ゲームプレイや人間の生理指標にぶどう糖摂取が与える効果については、これまでほとんど調べられていません。
そこで、かねてよりラムネ菓子と認知機能(記憶、注意、見当識などの脳機能)の関係を研究してきた森永製菓は、eスポーツに関連する研究を新たに行うことにしました。
今回実施された実験は、西日本工業大学の古門良亮 講師、九州産業大学の萩原悟一 准教授らと共同で、ラムネの摂取により認知機能の中でもeスポーツで特に重要な情報処理速度や持続的注意力に与える影響を検証したものです。
ラムネを食べて「ゾーン」に入りやすくなる
実験を実施するにあたって研究チームは脳神経活動に重要なぶどう糖を必要に応じて補給することは、最適な脳機能レベルを維持するために有効であるとの仮説を立てました。
実験の内容は、健常な成人男性20名を、
・ぶどう糖(含水結晶ぶどう糖)26.2g を含むラムネ 29gを摂取したグループ
・ぶどう糖をエリスリトールに置き換え風味を近づけた錠菓(プラセボ)を29g摂取したグループ
の2つに分け、レースジャンルのゲームを約30分プレイしてもらい、
・ゲームプレイ(約30分)前後に認知機能のテスト
・ゲームプレイ中の脳波データの測定
を行うというものです。
その結果、ラムネ摂取グループがプラセボ摂取条件よりも認知機能テストのスコアが有意に改善したため、ラムネ摂取は「情報処理速度」や「持続的注意力」の向上に有用であるとの結果が得られました。
さらに、脳波の測定ではラムネ摂取グループの方が、リラックスや集中といった心理状態で現れるSMR波のパワー割合が有意に高いという結果になりました。
このことから、ラムネ摂取は、時間の経過を忘れるほど課題に没頭している状態、つまり「ゾーン」という感覚に入りやすくなる可能性が指摘されています。
また、リラックスと集中のバランスがゲームパフォーマンスに大きく影響すると予想されるため、今後はぶどう糖の摂取がゲームパフォーマンスに与える影響をゲームスキル別に検証することが必要になるとのことです。
研究概要
【実施時期】:2021年秋
【対象者】:健常な成人男性20 名(最終解析対象者20名)
【試験食品】:含水結晶ぶどう糖 90%含有ラムネ打錠菓子 29g
【対照食品】:ぶどう糖をエリスリトールに置換した打錠菓子 29g
【試験期間】:単回摂取
【試験方法】:ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験
【試験項目】:トレイルメイキングテスト(*)による認知機能テスト、脳波データ測定
*トレイルメイキングテスト:コンピューター画面上のランダムな位置に表示される数字や文字を順番に早く正確になぞる試験法
まとめ
身近なお菓子であるラムネがeスポーツに好影響を与えるようです。
「情報処理速度」や「持続的注意力」の向上に役立つほか、「ゾーン」に入りやすくなる可能性も指摘されています。
現在主に集中力を維持するためにガムを噛んでいるeスポーツプレイヤーが多いですが、今後はラムネを持参するプレイヤーが増えそうですね。
大きなeスポーツ大会の前には店頭からラムネ菓子が消える、なんてことも起こるかもしれません。
今後の研究でどのような結果が出てくるのか楽しみです。