
カナダを拠点に各業界の市場調査とコンサルティングを行うEmergen Researchは、最新の分析によると世界のeスポーツ市場規模は2020年に11億6,560万米ドルに達したと発表しました。
また、2021年から2028年に間にeスポーツ市場は年平均成長率20.7%で拡大し、2028年には市場規模が51.9億ドルに達する見込みであるとの分析結果を明らかにしています。
eスポーツ市場の成長を促す要因とは
eスポーツ市場の収益成長を促進する主な要因となるのがビデオゲームの人気の高まりとライブeスポーツ放送プラットフォームの急速な成長の2つです。
eスポーツ放送局は、このようなプラットフォームを利用して、競技会や独自のゲームの生中継を放送することができます。
その結果、eスポーツのファンはお気に入りの大会に簡単に参加して、お気に入りのeスポーツプレーヤーとつながることができるようになりました。
このように接続性の向上と放送範囲の拡大により、eスポーツの動画や大会へのアクセスが容易になったため、これらを視聴する個人ユーザーが増えました。
さらに、現在の新型コロナ禍を理由とするロックダウンや自宅隔離の継続することで、主に娯楽としてのゲームの人気が高まることも予測期間中に世界のeスポーツ市場の収益成長を増大させると予想されています。
様々な項目に関して分析
Emergen Researchはゲームの種類、収益源、デバイス、および地域などの項目についてeスポーツ市場について分析しています。
以下は各項目を大雑把にまとめたものです。
収益源について
eスポーツのプレイヤー及び関連企業が収益を得る手段には
・出版料
・スポンサーシップ
・放映権料
・グッズ&チケット
・広告収入
などがあります。
このうち放映権料は、2018年〜2028年にかけての予測期間にわたって大幅な収益成長を記録すると予想されています。
eスポーツはさまざまな大会、トーナメント、チャンピオンシップで構成されており、メディアの権利取引は今後数年間で大きな収益を生み出すと分析されているからです。
ゲームの種類について
ゲームの種類として
・ファーストパーソンシューティング(FPS)
・マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)
・リアルタイムストラテジー(RTS)
・プレイヤー対プレイヤー(PvP)
が挙げられています。
世界市場への収益貢献の観点から、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)が大きく成長すると予想がされているようです。
MOBAは「League of Legends」などリアルタイムストラテジーゲームの一種で、あるプレーヤーを別のプレーヤーと戦う他のRTSゲームとは異なり、このゲームは2つのチームを互いに戦わせます。
このタイプのゲーム体験の人気と好みが引き続き勢いを増しているため、このジャンルの収益成長を大幅に促進するとのことです。
デバイスについての見通し
ゲーミングデバイスには
・スマートフォン
・コンピューター
・タブレット
・その他
があります。
このうちコンピュータは、ゲーム配信のリスナーの間でコンピュータベースのビデオゲームの人気が高まっている状況です。
そのため、予測期間(2018年〜2028年)にわたって大幅に着実な収益成長を記録すると予想されています。
地域についての見通し
レポートでは
・北米
・ヨーロッパ
・アジア太平洋
・ラテンアメリカ
・中東及びアフリカ
の各地域について分析がされました。
予測期間(2018年〜2028年)中に最速の収益成長率を記録すると予想されているのが北米です。
北米でのeスポーツ市場の成長を支えるのが、North America Scholastic esports Federation(NASEF)とされています。
NASEFは、大学のコンテストを主催し、教育機関がeスポーツアライアンスを形成するのを支援する組織です。
地域の市場成長を後押しすることが期待されるコーチングとメンターシップを提供することにより、エコシステムの強化に注力しています。
eスポーツを牽引する主要企業
世界のeスポーツ市場はかなり細分化されており、市場の収益シェアの過半数を占めるのは各地域のキープレイヤーとなる企業です。
世界のeスポーツ市場で活動している主要な企業としては
・Activision Blizzard、Inc.
・Modern Times Group
・任天堂
・テンセント
・FACEIT
・Turner Broadcasting System、Inc.
が挙げられています。
eスポーツ市場の成長を妨げる要因も
一方、eスポーツには市場の成長を妨げる問題点もあります。
ゲーム全体に言える問題点が
ギャンブルや賭けに関連するリスク
社会性の欠如のリスク
の2つです。
児童や未成年には推奨されないゲームタイトルがあり、親や保護者によってeスポーツ活動が阻止される可能性があります。
さらに調査レポートでは、eスポーツがコミュニティに及ぼしうる危険性も市場の成長要因として指摘されました。
eスポーツに熱中すると画面に触れる時間が長くなり、一部のビデオゲームの攻撃的な性質が、さまざまな年齢層のゲーマーに心理的影響を与える可能性があると指摘する専門家もいます。
さらに、ゲーム環境で起きた事件が現実の世界に飛び火し、地域社会を巻き込む脅威や暴力へと発展する可能性があると有識者が指摘しているとのことです。
まとめ
eスポーツに関する市場分析が発表されました。
技術の進歩や新型コロナ禍を追い風に急成長を遂げ、2028年には約52億ドルの規模まで成長するとのことです。
大きく成長していく分野なので国内のプレイヤーにも大きなチャンスがあるのではないでしょうか。
これから野球の大谷翔平選手やバスケの八村類選手のような、日本人スタープレイヤーがどんどん登場していくことに期待したいところです。
ただ、まだまだeスポーツにネガティブなイメージがつきかねない問題も多いので、これから順調にeスポーツが成長するためにこれらの問題点を解決していく必要があります。
eスポーツがどんな未来を見せてくれるのか楽しみですね。